サテライトクリニック明石
ごあいさつ
わたしは、2002年7月平塚病院副院長として就職後、2004年4月からサテライトクリニック明石を担当させていただいています。「精神科病院」に行くこと、「クリニック」にいくこと、の違いは事実上ないのですが、精神科病院に人気が出ることは今後の課題です。研水会平塚病院も当院も、診療内容は変わりません。
わたしが望むことは、入院したくなるような「精神科病院」が増えると良いということ。アメニティーが素晴らしく、スタッフに温かみがあり、食事は一流のシェフが提供してくれる、そんな「入院したくなる精神科病院」の出現を待っています。精神科(心療内科)のクリニックが増え続け、精神科の敷居が低くなり、受診しやすくなったのは事実です。
この診療科は何を治療しているのか。診断分類や病名に明晰な根拠のない困難な領域であることは不変です。「病態生理メカニズムが不明のまま」であるのに、診療科として名を連ねています。厚生労働省は統計上、世界保健機関WHOの発行する「ICD-10」を使用しています。したがって、当院でもICD-10を使用しています。大学などの研究や診療場面では、アメリカ精神医学会のDSM-5を診断分類表として使用していることが多いようです。
診断分類表は、マックス・ウェーバーの言う「理念型」に相当する抽象の産物です。「病名」に何ら実体はなく、時代や文化で変化し続けているのが、この領域です。昨今の精神科医療は、薬物療法に閉じ込められてしまい、われわれの思考も「一次元的」となりがちです。
『人はたった一度だけ地球という星を訪問する』そして、『医療の幅は、生活の幅より遙かに狭い』という事実を踏まえながら、診療しています。 当院では、クリニック内で「デイケア治療(リワーク)」を行っています。われわれの診療科では従来の「公費負担制度」の延長にある「自立支援医療サービス」が活用できます。一度、足をお運びください。
院長 木﨑 康夫 略歴
1952年東京生まれ。都立國立高校卒業後、京都大学理学部入学。1977年文学部哲学科卒業。1983年京都府立医科大学卒業。
都立松沢病院・都立精神保健センターにて臨床研修後、板橋保健所に3ヶ月勤務してのち曽我病院に4年半常勤。その間、1987年から8年間、松沢病院で青年期外来担当。1987年から5年間、成蹊大学法学部非常勤講師。
1990年からJR東日本中央保健管理所・JR東京総合病院に9年常勤。その間、都立府中病院(現多摩医療保健センター) 精神科救急当直に5年間従事 、同時期、 都立駒込病院心身医療科に6年間 非常勤。1999年から南淡路病院に3年間常勤。
2002年7月から医療法人研水会平塚病院、2004年4月からサテライトクリニック明石。
論文・発表
- 「社会科学の論理を巡って~Adorno と Popper における実証主義論争」 (1977年学士論文)
- 「精神科救急からみた青年期分裂病の実態」 (第3回青年期精神医学交流会)
- 「日本と中国における精神分裂病の妄想主題」 (精神医学 vol.30-5) 共著
- 「長期通院分裂病者の社会適応と治療的背景」 (精神医学 vol.32-1) 共著
- 「性的逸脱行動と著しい退行状態を呈した青年期女子境界例の一症例」 (季刊 精神療法 vol.16-3) 共著
- 「長期休業者の精神医学的問題~復職判定ケースの分析」 (交通医学 1994.9)
- 「ぬいぐるみを持ち歩く成人男子境界例の一例」 (第14回青年期精神医学交流会)
など。